今日もどこかの小区で@上海

上海での日常を綴っています。日本での日常生活とは少し違った、でも実はあまり変わらない人間味溢れる上海生活をご紹介します

思わぬ戦利品

朝からシトシトと雨が降り続いている。


近所のスーパーが食品のデリバリーを始めたらしく、そのオーダーが毎朝8時に始まるのだが、開始早々すぐに売りてしまうらしい。
いつもは夫がオーダーしているのだが、今日は私も携帯で、そのスーパーのアプリを立ち上げ、オーダーの準備をしていた。


娘が起きてきたので、オレンジを剝いてあげたりして気づいたら8:03になってしまっていた。


慌ててアプリを立ち上げ、商品を選んでいく。


商品と言っても、生鮮野菜、お米、油、と言った本当に質素な生活必需品と、少しのチョコレートなどの嗜好品だけである。


家には野菜や肉、油などの必需品は足りていて、ちょっと口寂しくなってきたので、「ワンタン」や「小籠包」などの嗜好品を選んだ。


商品を選んでいるうちに、売り切れになることも多く、私も例に漏れず選択した商品のほとんどが、何とかレジの画面に辿り着いた途端に売り切れマークとなってしまうことが何度か続いたが、何とか、「ワンタン」3種類と「ドリアン」のフリーズドライを1袋ゲットできた。



午前中は、昨日までに片づけられなかった仕事をいくつか終わらせたのだが、色々あった怒涛の1週間だったため、ベッドで横になりながらぼーっとしていた。


娘はテレビで、中国でも人気のある、「ウルトラマン」を観ていた。
夫が「ウルトラマン」の映画をダウンロードしてくれたのだが、その映画がなぜか80年代に日本で放映されたであろう、かなりレトロな「ウルトラマン」だった。
アナログ時代の画像なので、粒子が粗く、かなりぼやけて見える。


午後になると、朝オーダーした食料が配達されてきた。
間違えて、配達先の住所を、この小区の隣の小区の住所にしてしまい、そちらに届いてしまったのだが、すぐにデリバリーの運転手に電話すると、うちの小区まで持ってきてくれた。


「ドリアン」のフリーズドライは、娘の気に入り、すぐに無くなってしまった。
普段なら、「ドリアン」のフリーズドライを買うことはないだろう一品だが、急いで買い物をしていたので、中身も分からず購入したものだった。でも、砂糖不使用なら子供にも害がないので、今後も継続して買っていこうと思った。


夕方になると、夫が、
「また配達の通知が来たぞ。他には何も配達が届く覚えはないんだが・・・」
と言いながら配達物を取りに行くため、下へ降りて行った。


しばらくして、ぜえぜえ言いながら戻ってくると、お菓子やジュースなどが満杯に入った大きな段ボール箱を運んできて、玄関に ドスンッ と置いた。


「もう1箱あるから取ってくる」
そう言うと、またすぐに下へ降りて行ってしまった。


こんなに大量の食品、しかも嗜好品だらけのぜいたく品を、自治体が配布してくれるなんて、一体どうしたんだろうか。
ひょっとして、ロックダウンがこれからまだまだ続く、という意味なのだろうか・・・と考えていると、
「ちえっ!」と言いながら、2箱目をまたまた ドスンッ と置きながら夫が戻ってきた。
「箱にはちゃんと605号室と書いてあるけど、402号室のだったよー」
と、とても残念そうに言った。
どうやら、誰かが、誤ってうちの部屋番号を記入してしまった様だ。


仕方なしに、夫がこの思い段ボール箱を担いで、402号室まで運びに行った。
うちの小区にはエレベーターがないので、全て階段移動なのだ。


戻ってきた夫が、ちょっと嬉しそうだった。
「どうしたの?」と聞いたら、「402号室のアイが、段ボール箱を運んでもらい申し訳ないと、これをくれたんだよ~」


手にはなんと、今一番必要な、「薄力粉」(しかも2kg)を持っていた。


「アイはお菓子屋らジュースやらをくれようとしたんだけど、いいよ~と言いながら断ってたら、薄力粉が出てきて、『じゃあこれ』、と貰って来たんだよ~」


謙虚なのか要領が良いのか知らないが、ベストな食材を貰ってきてくれた夫の性格に、久しぶりに感心した。


これでしばらく朝食に思う存分パンやパウンドケーキが食べられる。


これから来る時代の変化に備えるのは、やはりこういうサバイバル能力だな、と改めて実感した一日の終わりだった。