今日もどこかの小区で@上海

上海での日常を綴っています。日本での日常生活とは少し違った、でも実はあまり変わらない人間味溢れる上海生活をご紹介します

真っ直ぐな男

やっと、ロックダウンから解放される兆しが見えてきた。
今日から、PCR検査で陽性者ゼロ人になってから7日が過ぎたので、小区内なら自由に動き廻ることができるようになったのだ。


「今日は、ヨーヨージエジエと、シャオディーディーと遊べるよ、嬉しい?」
*ジエジエは日本語で姉の意味
*シャオディーディーは、日本語でかわいい弟という意味


と娘のサンサンに聞くと、
「うれし」と頷いたが、何のことがまだよく分かっていない様だった。


朝食を済ませ、暫くすると、夫と娘は小区の広場へ出かけて行った。


今日は、PCR検査を知らせる外からの大声のアナウンスもないし、小区内なら自由に歩けるという開放感もあってか、午前中の仕事が心なしか捗った。


会議も入っていたのだが、いつも会議中にモニターを覗き込む娘もいなかったので、ハラハラせずに没頭できた。




12時になった。
そろそろお腹が空いてきたのだが、夫と娘はまだ戻ってこない。
きっと、小区の子供たちと久しぶりに会ったせいか、時間も忘れて遊んでいるのだろうと思い、有り合わせのおかずをレンジで温めて食べた


12時半になっても帰宅しないので、外に探しにいった。


大広場にいるのかと向かったら、案の定、ヨーヨージエジエと一緒に、PCR検査ごっこをしていた。
この大広場では、いつもPCR検査が開催される場所なので、それ用のテーブルや消毒液、ビニール手袋がまだ置かれたままだった。



「外に出られることになって、ほんと良かったよ!」と笑顔でヨーヨージエジエのババが言った。
*ババは日本語でパパ


ヨーヨーのババは、自宅におもちゃを取りに行くような、ちょっとした移動時でも、なぜかいつも全速力で走る。


以前、ロックダウンになる前のことだが、このヨーヨーのババが子供たちに大きなシャボン玉を作ってくれたり、面白いおもちゃを持ってきてくれたりして、広場で一緒に遊んでいた。


いつも通り、ヨーヨージエジエのババは、ちょっとした移動でもやはり全速力で走っていたのだが、この日は急に全速力で走り去って、ついに見えなくなってしまった。
何か急なトラブルでも発生したのだろうか、と心配しながら子供たちの面倒を観ていたのだが、30分ほどしてまた全速力で走って戻ってきた。


片手には、なぜかマクドナルドの袋を持っている。


「さあ、みんなで食べよう!」


ヨーヨーのババはおもむろに袋からハンバーガー1個、ポテト、コーラを取り出し、広場にあったテーブルに並べ始めた。


「このアンガスバーガーが、美味しいんだよ~」とちょっと自慢気に言って、ヨーヨージエジエと私の娘サンサンのために半分こにしてくれた。
娘たちは「カンペーイ」と言いながら、仲良く食べ始めた。
*「カンペーイ」は日本語で「カンパーイ」


「ほら、コーラも飲みな!」と元気よくヨーヨーのババが言った。


いきなり消え去って、戻ってきたと思ったら自分の好きなアンガスバーガーを3歳児に勧める、これぞ真っ直ぐな男だ、と心の中で呟いた。



お昼を食べないままいよいよ午後1時になってしまったので、また3時に遊ぼうと約束をし、自宅へ戻った。



お昼ご飯を食べた後、久しぶりに親友と時間を過ごせてよほど興奮したのか、普段昼寝をしない娘は、テレビを観ながらそのままウトウトと眠ってしまった。


起きた頃には、時計は既に夕方5時を回っていた。